「万桜ちゃん、私のことはもう〝様〝なんて付けなくていいんだよ。同じなんだから。」
真琴はそう笑った。
「そんな…真琴様…」
万桜は口を両手で押さえた。
「万桜ちゃんだって嫌だったはずでしょう?いきなりprincessなんて言われた子のお世話係なんて。」
「そんなこと……っ!!そんなことないです…。」
万桜は首を振りながら言った。
「私は…私は最初、この学園を受けた時に覚悟を決めていたんです。この学園に庶民が受けることは…自分の学園生活は地獄に落ちるって卒業生の方から聞いてたんです。」
「じゃぁ…どうして…?」
黎音が聞いた。
「黎音様や亜季斗様など、お金持ちの方にはわからない感情なんでしょうが…実力もなく実権も握れない私たちにとってこの学園は唯一の救いなんですっ!!皆さんが言うように、一生懸命勉強して、いい大学に入って普通の企業に就職すればいいなんて他人事なんです…。」
万桜は目に涙を浮かべて言った。


