Blueberry―私の日常―

ミサキはあたしの背を押してボタンを操作させようと、無理矢理ゲームの前に立たされた。
「だから、あたしもこーいうの出来ないって…!」
「ちゃれんじ♪ちゃれんじ♪」

渋々、百円硬貨を投入する。
「一回だけな」

アームを横にスライドさせ、丁度いいところまで止める。
あっ、ずれた。

微妙にずれが生じたためか、アームが下がっても小さい猫のぬいぐるみは引っ掛からない。

「残念。これで終わり」
「あ」
「――?」


再びコインが投入される音がした。
…と思ったら、後ろに重みを感じる。

誰かがあたしの背後でゲームを楽しんでいるのか。
男のものであろう腕に両サイドを挟まれ、その指では巧みにボタン操作をしている。

見ず知らずの女を挟んでゲームとは、どんな女好きだよ。
新手のナンパか?

ミサキに助けを求めようとしても、目をハートにさせ「イケメン…」とメロメロだ。
おい、彼氏はどうした。


ガタンッ。
「はい、とれた」
圧力がなくなり、勢いよく振り向くと顔…ではなく猫が。
正しくはぬいぐるみだけれど。

ぽかんとするあたしの手にぬいぐるみを鎮座させ、にこりと微笑むこの男。

何処かで見た事ある。

そうだ、教室で隣だった…。