「ちょっとトイレ借りてもいい?」
トイレに行きたくなった私は
さちに場所を聞き廊下に出た。
確かここを曲がると…
「は?だから…」
ん?この声は…
声のする方に目を向けると
思った通りはるとくんがいた。
はるとくんは電話をしていて
こっちに気づいていない。
「真由美…?」
ま…ゆみ…?
ドクンッ。
心臓が嫌な音を立てた。
その場で石のように固まって
動けなくなってしまった。
はるとくんは今、確かに
女の人の名前を呼んだ。
ズキっ。
ズキズキズキ…
胸がすごく痛い…
嫌だ…聞きたくない…
何で名前で呼んでるの…
ふつふつと悲しみが
こみ上げてきて目に涙が溜まってきた。
何で傷ついてんの私…?
何で…?
はるとくんが女の人の
名前を呼ぼうと誰と電話してようと
そんなの私に関係ないじゃん…
なのに…耐えられない…
動きたくても動けない…
するとはるとくんが電話を切った。
そしてこっちを向き私に気づいた。
すごく驚いた表情をしている。
いや、見ないで…

