『お早うございます。藤咲さん』
「お早う夏萌。うなされてたけど大丈夫かい?」
夢のことは言った方がいいだろうか。

藤咲さんは妖怪祓いをしていて、妖力もそこそこ強い為妖怪に関しては私よりも詳しい。
私は生まれつき妖力が強く、訳あって家出をした後、妖怪に追われまくって結界のあるこの家に逃げ込んだのをきっかけに今では居候させていただいている。
この地域では妖怪は認知されておらず自分や藤咲さん以外には見えない 妖怪 という摩訶不思議な存在にふり回されることも多いが、私はこの家で得意な家事を手伝うかたわら祓い屋の仕事も手伝っている現状だ。
祓い屋の仕事は、人間に害をなす妖怪を退治することが主だが、稀に妖怪が来ないように結界をはるのを依頼されたりもする。
とはいっても普通の人間に妖怪は見えないので表向きはお祓い専門店だ。
もちろん、不思議な現象すべてが妖怪のしわざというわけではないので稀に他の専門店への中継店になることもある。

「夏萌?大丈夫か?」
『平気です。朝ごはん作りますね。』
ただでさえ迷惑をかけているのだからこれ以上は迷惑をかけられない。もしも妖の仕業だとしても、あの夢のことは自分自身で解決しよう。