「あれでいいの?」


俺が鮎沢ばあちゃんの家を出てきたところ、悠里が門のところに立っていた。


「あれでいいって?」

「優愛に言うべきこと、ほかにあるでしょ?」

「……例えば?」

「俺は大丈夫だから、とか。あの日のことは忘れろ、とか」

「……忘れられるわけねえだろ。俺さえ無理なのに」

「……もしかして、優愛のこと本当に恨んでるんじゃ「なわけねえだろ。……あれは事故だ」


そういって、俺は当てもなく、ゆっくりと歩き始めた。

何故か後ろから悠里もついてきているようだ。


「お前さ、暇なの?」

「失礼だね。あんたのこと心配してやってるんだけど」

「……あのさ、わりいけど、俺、お前のことは…「わかってるよ、もう。好きでやってんだからそんなこと言わないでよ。心配しないで。優愛とあんたのことは邪魔する気はさらさらないから」

「……ならいい」

「ならいいって……。冷たいやつだね」

「……でも助かった」

「え?」


俺が立ち止まって振り向くと、悠里も立ち止まる。


「お前がいてくれて助かった」


そういって、俺が再び歩き出すと、悠里も後ろからついてくる。

なにやらすすり泣く音が聞こえたが気にしない。

振り向かない。

本当のことを言ったまでだから。

ごめんな、悠里。

お前の気持ちには答えられないけどお前がいてくれてよかった__________________。