「何しに来たんだ?この島に」


陽向はゆっくりと私に問いかける。


「……それは……」


言えなかった。

過去の自分と向き合うためだなんて。

だけど、多分陽向は知っている。

私に記憶が戻ったことを。

あの時、私が寝ている間に陽向が来たとお母さんは言っていた。


「観光しに来たの」


陽向の背後からそんな声が聞こえた。


「私が言ったの。優愛の小さいころに育ったところに行こうって。優愛がいつも自慢げに私に話していたから」


渚がそういうと、陽向は小さく「そうか」といって立ち上がった。


「……なんかあったら、隣の酒屋に来いよ」


そういって、陽向はゆっくりとこの部屋を出て行った。

陽向が完全に出ていったのを確認してから、渚は私の目をじっと見て


「……優愛。もう、自分に嘘つくのはやめなよ」


そういって、きたんだ_____________。