朝のにおいに、光に自然と私の目は開いた。

白い天井が目に入ってくる。

左の腕に私はどうやら点滴をしているようで、私は右のほうを見てみる。


「優愛。目、覚めたの?」


お母さんが私を見るなり優しく笑った。


「……ここ、は?」


私は虫が鳴くような声でそういうと、お母さんは「病院だよ」と静かに言った。

病院……。

私確か、家のベッドで寝てて……


「あなた、部屋の床で倒れてたのよ。そこから目を覚まさなくてね。

……記憶、戻ったの?」

「……き、おく……」


そう言われると、頭がズキンと痛み出す。


「ううっ……っ!」


いろんな情景がフラッシュバックする。

雨風に揺れる森。

びしょ濡れになった女のひと。

真っ白な病院。

そこに立つ小さな男の子。

悲しい目。

たくさんの人の嫌な笑い声。

机の上の落書き。

髪の毛を引っ張られる感触。

制服を着られる屈辱。

水をかけられる感触。

すべてが__________体に染みついている。

この体がすべて覚えていた。