「じゃあ……優愛が高校に入ってあんなに変わってしまったのは……」

「そう、優愛はあの事件以外の記憶も所々抜け落ちてる。
だけど、渚ちゃんの優愛の高校での様子の話を聞く限り、いじめられてた当時の断片的な記憶は残っていたようね」

「……。だけど、優愛はあの事件に深く関係している橘くんのことは覚えていました」


そういって、彼女は俺をまっすぐとした瞳で見つめてくる。


「優愛は、確かに確かにあなたのことは覚えてた。

その理由は多分、いや、きっと優愛があなたのことを…「…今、優愛は記憶が戻った。そのとき優愛が俺を受け入れるかどうかは、わからない」


俺が彼女の言葉を途中、遮ってそういうと、彼女は悲しそうな顔をする。


「俺は優愛が好きだよ。もちろん、友達としてじゃない」


この子には真実をすべて伝えてもいい。

きっと、記憶が戻った優愛のそばにいるのは彼女だ。

だから、俺の気持ちも知っている上で目覚めた優愛と接してやってほしい。


「___じゃあっ!」

「渚ちゃん。あなたの気持ちは痛いほどわかる。だけど、これは簡単な問題なんかじゃない。記憶が戻った今の優愛は、あなたが知っている優愛じゃない。

そこのところ、ちゃんと覚悟しておいて」


悠里がそういうと、彼女は落ち着いたようで静かに息をはいた。