そういって、彼女は口を閉じた。

この子も優愛に忘れられた1人だ。

俺らと同じ、優愛の記憶の一部を持っていた。


「私が真実をすべて話す。嘘みたいな話だけど、これはすべて本当のことだから」


悠里がそういうと、彼女はコクンと頷いた。


「すべてが始まったのは優愛がまだ私たちの地元にいたときから始まる。優愛がまだ小学生の高学年のとき。優愛と陽向が森に入って優愛が迷子になってしまったの。そのとき、病気で病院でずっと入院していた陽向のお母さんが病院を抜け出しで優愛を探しに行って、ちゃんと連れて帰ってきた。だけど、それが原因で優愛のお母さんは高熱を出して翌日亡くなってしまった。それを優愛は知ってしまった。

私たちは何もできなかった。優愛は私たちの前では笑ってたけど、陽向のお母さんを殺してしまったと思っていた。

そのまま優愛は私たちの地元を離れて中学生に私たちはなった。私と優愛はその時もメールなどで親交は続いていた。元気そうだった。安心してた。もう、とっくに優愛は乗り越えたんだって。陽向のお母さんのこととちゃんと向き合って自分の中でちゃんと解決したんだって思ってた。

だけどそれは違ってた。

優愛は_____中学3年生のとき自殺をはかった。大量の睡眠薬を飲んでね」


耳をふさぎたくなったが、ふさがなかった。

これが現実だった。

これが真実だった。

悠里は一度口を閉じてから、深く息をはいて、もう一度口を開いた。


「優愛のお母さんから連絡をもらって、私たちは島から急いでここまで駆けつけた。だけど、陽向は優愛のお母さんに優愛と会うことを許してもらえなかった」

「おい、そこは言う必要ねえだろ」

「いいじゃん。別に。全部話すっていったんだもん。

病室に入ったのは私だけ。優愛は私が病室に入ったとき、ちょうど目を覚ました。そして、覚ました時には、『誰?』っていったの。

優愛は記憶を失った。それも、優愛にとって苦い思い出はすべて」