「_____陽向。優愛は?」

「ああ、今は気持ちよさそうな顔して寝てる」

「そう……。よかった」


俺が優愛のいた病室から出てきたとき悠里が心配そうな顔をして迫ってきた。

そして、悠里の隣には……


「そいつは?」

「ああ、優愛の友達なんだって。佐伯渚ちゃん」


そういって、その子は軽く俺に会釈したから俺も会釈で返す。


「優愛に友達ができるなんてね。中学ぐらいの優愛だったら考えられないよ」


そういって、悠里はクスクスと笑う。


「お前は中学の優愛とも親交があったもんな。俺はそん時の優愛全くしんねえけど」

「陽向はね。これは私の特権だもん」

「……3人は、もしかして幼馴染ですか?」

「まあね。だけど、ちょっといろいろあってさ。ここじゃなんだし、どこかに入って話そうよ。渚ちゃんなら話してもいいよ。ね、陽向」


「ああ、そうだな」


そういって、私たちは病院から移動して近くのカフェに入ることにした。

東京の町はどこもにぎやかで、騒がしい。

肩などが他人にぶつかってもだれも「すいません」や「ごめんなさい」を口にしない。

みんな自分のことで一生懸命で他人なんか見ちゃいない。

なぁ、優愛。

お前はこんな町で今まで育ってきたんだな。


「___優愛と出会ったのは私がまだ中学の時でした」


カフェについて、最初に口を開いたのは佐伯渚のほうだった。


「私は当時いじめられてました。毎日がつらくてよく1人公園で泣いてました。そんなとき、優愛に会いました。

優愛も多分そのときいじめにあってました。だけど、彼女はなんだか凛々しかった。彼女は私に言いました。

『周りなんて気にすることないよ。あんたはあんたなんだから』

その言葉があったから私は今日まで私でいられた。だけど、再開した時の優愛は……別人だった」