おばさんは激しい運動はできないし、たまに体調を崩すと一週間会えないことは多々ある。

だけど、最近は調子がいいらしい!

調子がいいとき、おばさんはよく笑う。

おばさんの笑顔が大好きだった。

私にとっては第2のお母さん的存在だった。


『陽向』

『ん?』

『ちょっと、私、いいこと思い付いちゃった』


私はそう笑うと、陽向は、ん?と首を少し傾げた。


『あのね………

____お花取りに行こう。おばさん、花好きだから』





私はあの日そう陽向に提案した。

陽向は、『いいね!行こう!』っていってたっけ。

よかれと思ってた。

うん。

幼い私は、ただ、ただ、おばさんの笑った顔が見たかったんだ。

それだけだったんだ_________。




『……寒いっ』


誰か……


____ザザザっー


『……た、すけて』


お願い。


『陽向ぁー……っ!』


陽向はどこ?

暗いよ。

怖いよ。

ねぇ、家に帰りたいよ……っ!

ばあちゃんのところに帰りたい。

そんなときだった。


『__________優愛ちゃん……』


雨風の音の隙間から、大好きな人の声が聞こえた。


『……優愛ちゃん、ごめんね。寒かったでしょ?』


真っ暗闇のかなで人の気配がした。

それはだんだん近づいてきて


『おばさん、なんで?病院は?』


この場所にいるはずのない人物がずぶ濡れで立っていた。


『陽向が言ってたの。優愛ちゃんと森の中ではぐれちゃったって。それ聞いて、いてもたってもいられなくてね。抜け出してきちゃったっ!』


そういって、おばさんは笑ってくれて私はすっかり安心してしまった。


『……おばさぁーんっ!』


そういって、私はおばさんに飛び付き、おばさんはそんな私を優しく抱き締めてくれた。

暖かかった。

私はその暖かさに包まれて深い眠りに落ちていった__________。

そして、私が目を覚ます頃おばさんはもうどこにもいなかった。

おばさんは永遠の眠りについてしまった。





_________私がおばさんを、陽向のお母さんを……殺した。