______『あんたはあんたなんだから』


その言葉が胸にすごく残っていた。

私は……私。

その言葉があったから私は頑張れた。

自分を揺るがせることなく、今日までまっすぐに自分の道を歩んできた。

そう、あの人と出会ったから_____________。


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「ふーん……。なんかお前雰囲気変わったと思ってたけど、そういうことか」


カズくんは夜空を仰ぎながらそういった。


「うん。そういうこと」

「その女の子の正体はまだわかんねえの?」

「……いや。

多分、あの子だと思う。だけど、それはまだ言えない」

「何で?お礼言わなくていいのかよ」

「言ったけど、多分その子は気づいていないの。

だって、あの子はもう…「あ、渚っ!」


背後で聞いたことのある声が聞こえて、私とカズくんは2人同時に後ろを振り向いた。

そこには、季節に合わない汗をかいて、息が乱れている優愛の姿があった。


「ちょ、お前。待ってろっていったじゃねえか」

「だって、渚が心配で。先輩ばっかりに任せてられないと思って」


そういって、優愛がこちらに駆け寄ってきて、私の顔をまじまじと見た。


「うわっ!最悪、化粧ほとんど落ちちゃってるじゃん」


そういって、優愛はうははっと笑った。

そんな優愛を見ていると私もなんだかおかしくなってきて自然と笑えてきた。


「悪かったな。嘘の告白なんかして」


そんな笑いを遮るように、カズくんが優愛にそう軽く頭を下げて謝った。