先輩に告白されたとき、私には一つの違和感があった。
『優愛ちゃんだよね。俺と付き合ってくれない?』
そう言われた私。
急だった。
自販機で飲み物を買っているときに声をかけられた。
周りには私と先輩しかいなかった。
私と先輩は初対面だったし、私は先輩のことは知っていたが興味なんてサラサラなかった。
『バカじゃないの?』
私はそう言って、お金を自販機に入れた。
確信があったわけじゃない。
だけど、どうしてもその言葉が信じられなかった。
この人は、本当はこんな人じゃない。
何となくだけど、そんな気がした。
『へー。優愛ちゃんって案外賢い?』
そう言って鼻で笑った先輩。
何なんだと思った。
正直、私の苦手なタイプだと思った。
顔はかっこいいことは認めるけど。
私はお茶のボタンを押して、下から飲み物を取り出す。
『じゃ、私はこれで』
私はそう言って、立ち去ろうとする。
だけど
『返事は聞かせてくれないの?』
背後から先輩のそんな声がする。
『私、先輩のことまったく興味ないんで』
私はそう言って自分の教室に戻ったんだっけ。
あの時、なんで先輩は私に告白してきたのかはいまだにわからない。
だけどこれだけは言える。
先輩が好きなのは私じゃないよ。
きっと、先輩はずっと前から渚、あなたのことが好きだったんだよ。
町が前よりも私たちに優しい気がするのは気のせいじゃなよね、きっと___________。