「優愛ちゃんはこんなところで何してるの?もう、暗いし、駅まで送っていくよ」

「あ、ちがうんです。……渚に、ちょっと……」


私がそういうと、先輩の目は一気に変わった。

へらへらしたあの目じゃなくて、すっごく鋭くなった。

どんどん、先輩がその目をしたままこちらに迫ってくる。

私はじりじりと塀に押しやられる。

こんな先輩の目を私は知らない。

こんな怖い人の目を私は知らない。


___バンっ


「もしかして、渚をいじめに来た?」


そういって、私が塀に背中がついたところで私を逃げられないように両手を塀につけた。

これは、世にいう壁ドンってやつなんだろうけど、まったくときめかない。

逆にすごく怖いし。


「いじめに来たとか、そんなんじゃないです」


私は怖気ていないそぶりを演じながらそういうが、先輩のその目は変わらずに私をじっと見つめてくる。


「本当に?」

「はい」

「じゃあ、ここに何しに来たの?渚に何の用?」

「……私、今日渚の家に泊めてもらうことになってて……」

「……渚に友達?」


先輩はそういって、ようやく先輩は私から一歩引いてくれた。


「優愛ちゃん、渚と仲良かったっけ?」


先輩はまだやはり私のことを疑っているようだ。


「いろいろあって、最近仲良くなったんです」


まあ、本当にいろいろあって……


「ふーん……。で、渚はいまどこ?家にいるの?」