泣いて、笑って強くなれ


「わかった。……あ、そういえばさ」

「ん?」

「……陽向って誰?」

「……え!?」


私の手が止まる。

渚がこちらをじっと見つめてきているのが分かる。


「……なんで、陽向のこと……!?」


渚には陽向のことは何も話してないはず。


「優愛、寝言いってたんだよ。陽向って呼んでた」

「……え、嘘っ!?」


私の顔がだんだん赤くなるのがわかる。

恥ずかしすぎる。

寝言で陽向のこと呼ぶとか……。

これじゃあまるで……。


「あ、安心して。私優愛の隣の席だから聞こえただけだし。たぶん他の人は気づいてないよ」


渚はそういって、ふふっと笑った。

それで少しは安堵する私。

だけど、渚は私の目を見つめたまま


「優愛、陽向って人のこと好きなの?」


渚はそう言って、パクリと弁当の卵焼きを口に入れた。


「いや、そういうわけじゃあ……」


好きとか、そんなのよくわからないしさ。


「ふーん……。優愛モテるのに。もったいない」


そういって、渚は少し残念そうな顔をする。

いやいや。

渚に言われたくないよ。

そう思って、私も弁当の中身を一口口の中に入れた。