「いやいや、それで終わらないでよ。ちゃんと分かるように説明してほしいの、私は」
「うーんとですね……。
助けてあげてください。鮎沢さんのなかの鮎沢さんを殺さないでください」
「……え?」
「学校にいるあなたは、あなたじゃない。作り物のあなたに言われた言葉は少なくとも私の心には刺さりません」
私がちらっと、佐伯さんの方をみると、佐伯さんもこちらを横目でちらりと見た。
「あなたは。佐伯さんは、私の何を知ってるの?」
あなたはいったい……
「それは、今は話せません。
だけど、時が来たらちゃんと話します。それまでは話せません」
そういって、ゆっくりと起き上がった佐伯さん。
私もつられて起き上がる。
「鮎沢さん。私はやっぱり、あなたに助けられてばかりです」
「え?」
いつ私、佐伯さんのこと助けたっけ?
「あなたが今日学校に来たくなかったのは、あの事が原因なんですよね?」
そう言われてやっと私は気づく。
ああ、紗英たちに私が口答えしたときか。
「あれは私がムカついたから言っただけだよ」
ほぼ自己満足みたいなものだったし。
「それでもいいんです。私がただ、お礼を言いたかったんです」
そういって、優しく笑った佐伯さん。
佐伯さんの笑い方は優しい。
こっちまで、暖かくなるような、そんな笑い方をする。
「優愛でいいよ」
「え?」



