これ以上は酷だ。
「だけど、あえて見せない。これで、おあいこね」
私はそういって、二人に背を向けた。
自分の机の上にあった荷物を手に取る。
今日は勉強する気分じゃない。
先生だってたまには私の気まぐれに付き合ってもらうよ。
私は、通りすがりの先生に「鮎沢優愛は早退です」と言うだけいって、学校を出た。
学校を出て、家に帰る気分にもなれず、近くの川原に私は寝そべっていた。
秋風がさわさわと気持ちいい。
赤とんぼがたまには私の目の前を横切る。
空の雲がふわふわとなんの束縛もなく自由にただそこに浮いている。
人間は生まれたときから平等だ。
そんなのしってる。
生まれた家が貧乏だとか、金持ちだとか、そんなんで人間は決められない。
貧乏だから不幸だとか、金持ちだから幸せだとか、そういう方程式は間違っている。
顔が不細工だとか、綺麗だとかそんなのでもない。
だけど、金持ちか貧乏かだったら、誰だって金持ちの方がいい。
不細工か綺麗かだったら、誰だって綺麗な方がいい。
だから、人は嫉妬する。
醜い感情が自分を蝕んでゆく。
本当は羨ましかったんだよね。
佐伯さんが、私が、羨ましかった。
氷室先輩に好かれる容姿を持っている私が羨ましかった。
家族円満な家庭をもっている私が羨ましかった。
わかってる。
わかってるよ。
私はあの二人にとったらきっと恐怖の存在なのだろう。
だから、ずっとずっと私を手元に置いていたんだよね。
私が好き勝手しないように。
自分達の秩序を乱さないように。
ねぇ、そうでしょ___________?
_______________だけどもう、私は自由だ。



