泣いて、笑って強くなれ



ああ、そういうことなのか。

私は二人の様子からすべてを悟った。


「まじ、偽善者ぶってんじゃねーよってなったわ」


紗英はそういって高らかに笑う。


「そうそう。アイツだってさ、私らと一緒に散々いじめてきたのにねー」


そういって、里咲も紗英と一緒になって笑う。

そして、二人は顔を向けあったと思ったら二人同時に私の方を見てきた。


「あ、優愛。いたの?」


紗英は、私の存在にたった今気づいたようにそう言う。


「影薄すぎてわかんなかったー」


里咲も紗英と同様、同じ調子でそういってくる。

無理だ。

そう思った。

もうこの人たちと一緒にいるのは無理だ。

なんで私は今まで、こんな人たちと過ごしてこれたのだろう。

このは人たちと今まで同類だった自分が今では恥ずかしいよ。


「ねぇ、知ってる?」


私は二人に問いかける。

二人は首を傾げてこちらを見てくる。


「紗英の彼氏の氷室先輩、本当は私のこと好きなんだよ」


傷つけばいい。


「そりゃ、そうだよね。紗英よりも私の方が頭いいし、運動だってできるし、容姿だっていい」


所詮、私らは同じ人間なんだ。


「ねぇ、知ってる?」


スクールかーストとか、そんなんはもうしったこっちゃない。


「里咲のお父さん、会社の秘書と不倫してるんだよ?」


人間は皆は生まれたときから平等なんだよ。


「お母さんはその事にもう気づいてるんだけど、お金のこともあるからなかなか離婚できないんだよね?」


だから、だから、羨ましかったんだよね。


「……っ!そんなでたらめばっかり並べないでよっ!」


紗英が顔を真っ赤にして、私にそう叫んでくる。


「そ、そうだよっ!んな、でたらめ皆信じるわけないじゃんっ!」


里咲も、慌てて紗英にのっかる。


「証拠ならあるよ」


私はそういって携帯を取り出そうとしたが、やめた。

ここまででいいじゃないか。