そういって、ばあちゃんはゆっくりと目を閉じた。

少し眠くなったのだろうか。


「ありがとう」


ありがとう。ばあちゃん。

私、最初はここに来るの嫌だって早く帰りたいって思ってたけど、今はここを離れるのが惜しいよ。

寂しいよ。





「……っ!」


陽向が急に日傘をそこら辺において、ばあちゃんの体を揺すり始めた。

その顔はとても険しくて、いつにもなく真剣だった。


「ばあちゃんっ!!」


陽向がばあちゃんのかたをゆすりながら、そう叫ぶ。

だけど、ばあちゃんは一行に目を開く気配はない。

いったい何をそんなに慌ててるの?


「ちょ、陽向。ばあちゃん今寝てるから。そんな起こさないであげてよ」


きっと、久々にそとに出て疲れたのだろう。


「___ばあちゃん、息してねぇ……」

「__え……」


嘘、でしょ?

そんな冗談やめてよ。

そう思って私は急いでばあちゃんの顔に自分の耳を近づける。

だけど、そこからは寝息などは聞こえず、聞こえるのはセミの鳴き声。

脈もとってみるけど、動いてなどいない。

ばあちゃんの胸に手を当ててみるけど、ピクリとも動かない。

嘘、嘘、嘘……。

なんで、

なんでこんな急に。

私はその場に立ち尽くすしかなかった。

セミの声がうるさい。

前まで心地よく聞こえた風鈴の音でさえも耳障りだ。


「……陽向」


ねぇ、どうしよう。

どうしよう。

どうしよう。

助けて。

お願い。

誰でもいいの。












光のあたらないところへいきたいの_____。