「昔のお前はどこにいったんだ?
優愛」
「……っ!」
自分の顔が歪んだのがわかった。
昔の私?
そんなの……
「覚えて、ないんだもん……」
そう、昔の記憶は私にはない。
「陽向と遊んだことは覚えてる。だけど……
ここで過ごした日々はよく覚えてないの」
ずっとずっと不思議だった。
私にはある部分の記憶が抜けている。
「……ああ、知ってる。
だけど、優愛。その記憶がなくとも、お前は正しい道をちゃんと知っている」
そういって、陽向はやっと、やっと私に優しく笑いかけた。
そして、そっと私の頭を撫でる。
「たまには休めよ」
そういって、陽向は私をそっと抱き寄せた。
自然と涙が溢れた。
きっと、陽向は知ってたんだ。
私が向こうでうまくいってなかったこと。
苦しんでいたこと。
仮面をかぶって暮らしていたこと。
全部全部、陽向にはお見通しだったんだ。
「一人じゃねぇからな」
陽向の優しい声が聞こえる。
「ここにはばあちゃんもいる。俺もいる。
苦しかったらいつでも逃げてくればいい」
ねぇ、陽向。
なんで、あなたはそんなに優しいの?
なんで、私のほしい言葉がわかるの?
不思議だね。
陽向のここはどこよりも安心するよ。
どこよりも暖かいよ_________。



