「夜の8時」
「え?」
「一時間だけなら店抜けられるから一緒にいこうぜ?綿あめくらい奢ってやる。
ばあちゃん。優愛、今夜一時間だけ借りていいか?」
陽向がその無邪気な笑顔を、そのままばあちゃんにむけた。
すると、ばあちゃんは柔らかく笑って「楽しんでらっしゃい」なんて、陽向に言ったんだ。
陽向はばあちゃんの了解を得ると、その笑顔のまま
「じゃーな、ばあちゃん、優愛!」
そういって、まるで風みたいにいなくなった。
ほんと、ひとつの場所に長時間いれないタイプのやつね。
「優愛ちゃん、笑うようになったねぇ」
「え?」
ベットにねながらばあちゃんが、私の方をみて優しく笑っていた。
そう言えば、そうかもしれない。
学校にいってたときは、笑ってたけど笑っていなかった。
心が笑っていなかった。
「優愛ちゃんの笑顔みてると、ばあちゃん嬉しくなるからね。
陽向くんのお陰なんかねぇ」
そういって、ゆっくり目を閉じたばあちゃん。
きっと、喋りすぎて眠たくなったのだろう。
私はそっと、ばあちゃんに近づき布団をかけると静かに部屋を出た_____________。



