「は?お前、何したらこうなるわけ?」

「陽向に教えられたとおりにやったらこうなりました」

「んなわけねえだろ!」


只今私と陽向は、ばあちゃんの家の台所に立ってお昼ご飯をつくっている途中。

今まで、陽向がこの家に泊まりこみでばあちゃんの世話をしていたらしいが、私が来たため、陽向が今までやっていた家事全般を私が引き継がなければいけない。

そのため、陽向が


『料理教えてやるよ』


そういって私は今こうして慣れない料理をしているわけだが……。


「なんでお前、こんなこともできないわけ?本当にお前は女子か」


陽向、超スパルタなんですけど。

チャーハンを作ろうと思って、卵を割ったら少し殻がはいっちゃって、カルシウムだし体に意だろうと思って取り除かずにそのままにしてみたり

塩コショウをちょっと入れすぎちゃったり

少し目を放した隙に焦げちゃったり

色々な失敗が重なってできたチャーハンはかなり不恰好な見た目になってしまった。

家で料理なんてあんまりしないし。

人間、不得意なことはだれだってあるでしょうが。


「もう、いいよ。無理して食べなくて」


そういって、出したチャーハンを下げようとしたら、その手を陽向にさえぎられた。


「誰も食べねえっていってねえだろ」


そういって、大皿に乗ったチャーハンを居間に持って行く陽向。


「優愛。スプーンもってこいよ。あと取り皿も」


そんな声が聞こえてきて、私は綺麗に整理整頓がされている食器棚から、取り皿とスプーンを取り出して居間の方へと向かった。

居間では陽向がちゃぶ台の前に座って私が来るのを待っていた。


「おお、サンキュー。じゃあ、食おうぜ。お前の初料理」


そういって、私に向かってニタっと笑う陽向。

陽向の笑顔は、太陽みたいだと思う。

口角がきゅっと上がって、無邪気に笑う。

素直に綺麗な笑顔だと思った。