「このアルバムは穴だらけだ。いまならわかると思うけど、元はその写真で埋まってたんだ。
優愛ちゃんには自分のてでこのアルバムを完成させてほしい」
そういって、先輩は優しく微笑んで、渚と先輩はゆっくりとその場で立ち上がった。
私は自分てにあった1枚の写真を見た。
それは、陽向と私の二人の写真だった。
これは何をしてるんだろう。
虫取かな。
二人とも手に網を持っている。
私、笑ってるよ。
こんなに無邪気に笑ってるよ。
お母さんは私が記憶をなくしたとき、きっと、これらの写真を捨てようとしたんだろう。
だけど、捨てれなかった。
何故なら、このアルバムのどのページの私の笑顔よりも、この笑顔が一番キラキラしてるから。
陽向のとなりにいる私が、あまりにも楽しそうに笑ってるから。
「ちょっと、私たちここらへん散歩してくるから。何かあったらケータイに連絡して」
渚はそういって、ゆっくりと立ち上がった。
「渚」
「ん?」
「前に私に言ったよね」
「……」
「私の強さ。見つけたの」
そういうと、渚は優しく微笑んだ。
「何?聞きたい」
「私は泣いて、笑って強くなる。泣いて、笑えることが私の強さだよ」
私がそう言うと渚は満面の笑みを浮かべたんだ。
「答えは出たみたいだね」
「うん、渚のお陰」
「ちがうよ。私はなにもしてない。
今の優愛ならきっと大丈夫だよ」
そういって、渚は先輩とゆっくりと居間を出ていった。