「お前らは……いいな」
気づけば俺はそういって、笑ってた。
いつもは笑おうと思って笑うのに、今は自然に笑ってた。
なにもおかしくなんかないのに。
自然に頬が上がった。
自然に目が細くなった。
俺、なんで笑ってんだろ。
自分で自分に問いかけてた。
「羨ましいなら自分で作れば?」
「簡単に言うなよ」
「簡単なわけねぇじゃん。恋愛舐めんなよ」
「……なめてなんかねぇよ」
「嘘だね」
「……は?」
「笑った顔から一変。陽向くん、そういう顔もするんだね」
「……うっせーよ」
「まぁ、ここでぐだぐだやっててもきりないしさ、悪いけど陽向くん。
優愛ちゃんのいるとこまで案内してくれない?」
「……優愛のところ?」
「そう。これ、届けろってうっさくて」
そういって、男は両手に持っている鞄を持ち上げてため息を溢した。
正直ことあと暇だった。
仕事が始まるのは8時。
あと、二時間は空いている。
男はまるで俺に期待しているかのように見てくる。
チャラそうに見えるけど多分中身はくそ真面目。
そして、計算高い。
考えてないようで実はめちゃくちゃ考えてますってやつ。
きっと、学校の方ではさぞかしモテたんだろう。
それなりの容姿だし。
こんなやつがここら辺の道をうろうろしてたら多分誰かがこえをかけて優愛のもとまでつれていってくれると思う。
別に俺がわざわざ案内しなくても、島の誰かがやってくれる。
多分優愛もいまはできるだけ俺には会いたくないだろう。
あいつの心の整理がつくまで、俺は……
「……いつまで逃げるき?」
「……っ!」
別に逃げているわけじゃない。
逃げていたつもりもない。
ただ、ただ、俺は……
あれ、なんでこんなにいいわけしてんだよ。
なんで俺は……っ!
「優愛ちゃんが必死に助けを求めてるのが君には分からないの?」
「あいつを悩ませているのは俺だ」
「……はぁ。バカにもほどってもんがあるんじゃねぇの!?」



