そういって、悠里は少し目線をあげて俺の目を真っ直ぐと見てきた。


『小さい頃からずっと……陽向が好きです』

『……っ!』


悠里がまっすぐ俺を見てくる。

嘘、だろ?

悠里が……?

気づかなかった。

気づくはずもなかった。

そんなこと。

本当に幼いころから俺らは一緒にいた。

物覚えあるときにはもう悠里は俺のそばにいた。

大事な人だ。

だけど……


『俺はお前のこと…『わかってる』


俺が言い終わる前に、悠里はそう言って涙を自分の手でぬぐった。


『陽向が私のことただの幼馴染としてしか見ていないってこと、もうわかってる』


そういって、悠里は無理やり笑顔を作った。


『だけど、陽向はそれでいいの?』

『……え?』

『優愛とはもう会えないかもしれないんだよ。そんな会えない人のこといつまでも想ってて、それで前に進めてるって思うの?

ねえ、陽向。私を選んでよ』


夜の空気に俺らの声はよく響き渡った。

悠里の声はいやってほど俺の胸を締め付けた。

このまま悠里の気持ちを受け止められれたらどれほど楽なんだろう。

そう思った。

悠里はいいやつだ。

美人だし、頭もいいし、気もきく。

つけ足せば、悠里の手料理はうまい。

まさに非の打ちどころはない。