初めて会った日に 初めて見た こいつの顔は 泣き顔だった。 屋上のドアを開けた 苦しくて悲しい俺の前 屋上の広い コンクリートの上に 寝っ転がる女が一人。 「お前名前は?」 自然に口から 言葉がでた。 「…芽衣。 白乃芽衣。」 芽衣は泣きながら しっかり俺に 名前を伝えた。 芽衣の泣き方は なきじゃくる っていうより その童顔からは 考えられないような 目に涙がたまって 頬を伝う。 落ち着いた泣き方。 静かな泣き方だった。