「帰る」



そう言って椅子から井波くんが立った。



「あっ、なら私も一緒に帰っていい?」


「…なんで?」


「井波くんと帰りたいからです!」


理由はそれしかないんです。


「あのさ、いつまでそういうの続けんの?」


「…どういうこと?」


「前から思ってたけど、正直言って本当うざい」



冷たく言い放った言葉を教室に残し、井波くんは教室を出ていった。



『本当うざい』



そう言う事言われる覚悟で頑張ってきたけど、



その言葉が思いっきり私の胸に刺さった。



井波くんは、私をただうざいとしか思ってくれていないの?


少しでも女の子として見てくれたことはあるの?



そんなはっきり言われたら、さすがの私も傷つくよ。



でも、決めたの。



「…諦めないもん」


小さな声でそう呟いた。