「い、いい井波くん、この席なの?!」


動揺して声が震える。


「そうじゃないと座らないでしょ」


わぁ…!!


私、これから人生で使う『運』を今年で全て使い果してしまうのではないでしょうか?


井波くんがすぐ後ろにいるのに、授業なんて集中できない!


「嬉しいです!」


「あっそ。さっさと前向いてくれない?」


かっこいいよ井波くん!


これで教室でも話せる機会が増えるんだね!


大声で叫びたい気分だ。


「あーき!って、柚姫ちゃんもここなの?!俺もここが良かった〜」



そんな衝動に駆られていると、横から蒼空くんがやって来た。



「蒼空くんはどこ?」


「俺はね、あそこ」


そう言って蒼空くんが指差すほうを見ると、一番前の真ん中。