うっわ、暑っ!
外へ出ると同時に、真夏の強い日差しがジリジリと照りつけてきた。
民宿の前では、既に馬車が到着していた。馬車の主が待っている。
額の汗を拭いながら、中年太りの男にお金を渡すと、馬車に乗るように促される。
「あっついですね……先生倒れないで下さいね」
「それは私のセリフだよ。すぐにバテる紡に言われたくない」
椅子に座りながらそんな会話を交わす。
私は人と比べて汗っかきだ。脱水症を起こしやすい。
まあ、今日は汐さんから水筒を持たされたし、その心配はないと思うけど。
「出発しますよぉー」
間延びした声が聞こえた瞬間、ガタンと馬車が揺れた。