「あああああっ!」


空気をつんざくような金切声。
思わず耳をふさぎたくなるようなその声に、私は目を覚ました。


――が、そこは先程までいた路地裏ではなかった。

絵本でしか見たことのないようなお城の中に、私は寝転んでいる。初めて見た所なのに、どこか見覚えのある場所だ。


でも今はそれどころじゃない。
私は目を疑うような光景に口をあんぐりと開けた。


近くに、私と同じ金髪の女の人が、私を庇うようにして立っていた。
その驚く程端正な顔立ちの女性は、口の端から血をボタボタ垂らしている。
それでも何かをブツブツをつぶやいているけど、何を言ってるのかは全く分からない。

更に白い綺麗な床の上には、金髪の人達が血まみれになってゴロゴロと倒れていた。


ちょっと、なにこれ。どういう状況?

何か話そうとしても、ひどく気だるくて何も話せない。

すると、女性の目と鼻の先に人影があるのが見えた。
女性はその人に向かってブツブツ言っている。敵なのかな。

最初は闇に溶けてしっかりとは確認できなかった人影は、段々と近づいてきて徐々にはっきり見えてきた。


更に強く何かを唱える見知らぬ女性。
何故か、この女性を守らなくてはいけないと思った。

コツ、コツ、と聞こえてきた足音。

人影から感じる、尋常でない威圧感……――否、殺意。


あ、こいつやばい。
気づいた時にはもう遅かった。


暗闇をぬって現れた、その人は――