十数分後、私の周りには累々と男たちがうずくまっていた。
なんとか、素手だけで4人とも始末することができた。

残るは、リーダー格のゴリラ1人だけ。


「はぁっ……」


それにしても、流石に大の男数人を相手にすると応える。
いや、それよりも、身体がなんだか……


私はよろめきながら、ゴリラに向き直った。


「……刀に何を塗っていた?」

ニヤリ、と嘲笑うゴリラ。

「痺れ薬だ。やっと効いてきたな」


私はジンジンと痛む肩を抑える。
恐らく、一番最初に肩に受けた刀傷が原因だろう。さっきから身体が思うように動かない。力が、上手く入らない。

……最も、身体が全く動かないというわけではないけど。


私は懐からもう一度短剣を取り出した。
この剣は先生から護身用に貰った物だけど……状況が状況だ。少し位刺しても構わない、はず。