異変に気づいたのは、店を出た数分後だった。
馬車が来るまでまだ時間あるから、特にやることも無く通りをブラブラ歩いていく。

先生、変な人に絡まれて泣いていないだろうか……。

そんなことを考えながら西通りに出た時、ビリっと頭を貫かれるような衝撃を感じた。


人々の喧騒に紛れて放たれる――殺気。

それは明らかに私に向けての物だった。


しかし、振り向いてもその主の姿は見えない。


……なんだ

しかも相手は1人ではないようで、3つ4つの殺気を感じる。

いくつか道を進んでも、殺気の主達はどこからか私を監視しているのか、ずっと尾行てくる。

上手く撒くにしても、あまり動いたら私が道に迷ってしまうし……。


ああもう、先生なら人数も場所も確実に当てられるのに……!


拉致のあかないやり取りにやきもきし、私は痺れを切らした。


もういい。私に何の恨みがあってこんな事をしてるのかは知らないけど。


……相手が来ないならこっちから迎え撃つまでだ。