彼があたしを抱くとき


教室へ、カバンを置いてきたと言って、もどってきた。

「さっきの話ね、こんなことつづけると、俺はよくても、すずが駄目になっちまうよ」

「でも、先輩があたしに求めるものって、身体しかないんでしょ。
それ以外は何ンの興味もないし、好きな女の子の感じじゃないって……」

「そうなんだけど、俺のことが、ほんとうに好きだったら、もうよせよ。ますます、気持ちが離れてくから」

「でも、いつも求めるの、先輩の方じゃない。最初のときだって」

「だから、こんなことの相手はやめろ」

「先輩の気持ちの中には畑さんしかいないでしょ」

「……………」

「それで、もしあたしが先輩の求めに応じなければ、話をすることもできなくなっちゃうよ」

「……………」