彼があたしを抱くとき


「どうした、こんな早い時間に」

振り返ると、コートのポケットに片手を入れて岸谷が立っていた。

張りつめた気持ちが、
音もなく消えて、
岸谷にすがりついていくと、
「よせよ」と、にべも無く拒絶されひどく恥ずかしい思いをする。