彼があたしを抱くとき


海の水には、ねばり気があるようだ。

タールの海だ。

あたしの下腹にもタールの海がある。

うねうねと、予兆と甘美な快楽が打ちよせる。

辷りだす船もなければ、つり糸をたれる者もいない。

この地球上で最大の容器は、ただじっと身をひそめている。

もし、あたしか母かが、ひとつまちがえば、呑みこまれるかもしれない。