彼があたしを抱くとき


あたしの混乱と痛手を、ふみつけにし、ののしることしかできなかった母の背で、今、あたしは母が発する女のにおいをかいでいる。

「おとうさん……お……と……う……さん」

あたしはだれを呼べばいいのだろう。

海の向こうから父が来るのだろうか。