彼があたしを抱くとき


天井に走る木目のひとつふたつが人の目に見える。

いつもあたしはだれかにみられている。

その人々はあたしについて勝手なことを言う。

ほんとうはどうでもいいことが多いのだ。

母だって世間だって、どうでもいい。

あの時、東京へ戻ったら、京都へ行く電車はまだあっただろうか。

暖かいふとんの中で、秀太と晩秋の京都で生活してみたいと空想した。

あたしは本を読み、秀太は絵をかく。

あたしは彼の前で、ヌードでポーズをとってスケッチされる。