「東京へ引きかえそうよ」 秀太が突然に、耳もとで言う。 あたしは、それが彼一人で東京へ引きかえすことを意味していると思った。 彼には明日、仕事もある。 大学もあるのに、こんなところまで連れてきたことを後悔し、 自分が軽率だったことに恥じていたから。 しかし、秀太は自分が貯金を百万ほど持っていることや、今からなら、何処かに行く夜行列車の発車に間に合うことを話しはじめた。 あたしは彼が何を言っているのか理解するまでに随分と時間を要した。