彼があたしを抱くとき


隣の男の子がまた動きだした。
ウェイトレスが、乱暴に前の客の食器をかさね運んでいく。

もう一人の年かさのウェイトレスが、食券を半分にちぎる。

灰皿とコップだけになったテーブルの上を、今までウェイトレスにみとれていた男の子が、そっとのぞきこみ、ふきのこっていたソースを指先につける。