彼があたしを抱くとき


いいかげんに、どちらともなく目についた店に入る。

テーブルと座敷半分の大きなファミリーレストランだった。

東京の人間よりは地方から見物に出てきた人間の方が多い。

老婆と三つか、四つくらいの女の子、それに五つ、六つの男の子がお子様ランチをおいしそうに食べている。

草色に染めた毛糸の帽子を、女の子がふくろから出しては、またしまっている。