彼があたしを抱くとき


「そうじゃないよ」

「じゃあ、初めてだ」

「よろしい。じゃあ、どうぞ」

両手をポケットに入れて、鼻水をすすりあげてから唇をちょっと突き出して目をつむる。

丸山くんの鼻先もつめたかった。

少し荒れた唇がふれたかと思うとすぐ離れていった。