彼があたしを抱くとき


「いいねぇ、あんな頃は。俺なんかも浜にいたカップルを、やいやいからかったよ」



こんな時は、優しい目をきまってする。

だから、あたしは秀太を信じてしまう。

いたずら坊主の中には、水を含んで砂まみれの運動靴を竹ざおにひっかけて、肩にかついでいるのもいた。
帽子を横に
かぶっているのもいる。

丸い頭の向こうで海が、きらきら光る。