「ちょっと熱っぽいけど点滴入ってるしすぐに下がるよ。食事だけはちゃんととってよ?」



「はい……多分」




「でもすぐに良くなりそうだけどな」



「…だといいです」






「あっだから夏来ダメだって」



寝室のドアが開いたと思ったら、夏来くんに続いて蒼先生が入ってきて。



「あ、もう終わってますよ」


「ありがとう高島、わざわざ来てもらって」


「いえ、全然大変じゃないので」





「ママ!」


「夏来、ほらおいで。ママ具合悪いんだって」



「んやぁッ!!」



「夏来…困っちゃうよ」



「いいよ蒼、夏来おいで」




体を起こして夏来くんをぎゅっと抱きしめた季蛍は、嬉しそうに頭を撫でる。




「…ママ赤ちゃんできたの?」



「えッ?」  




「赤ちゃんいるからねんねしてるの?」




「……ち、違




…違うよ夏来!!風邪…じゃなくて…なんて言うか…赤ちゃんじゃなくて…」




戸惑いを隠せない季蛍は必死で首を振る。



「…赤ちゃんじゃないの?」



「今お熱があるの。夏来も病気になるでしょ?」



「……うん」




「ね。だから寝てるだけ」




戸惑う季蛍にくすくす笑いながら、夏来くんを抱えて蒼先生は部屋を出ていった。



「…夏来くんよっぽど欲しいんだね、下に兄弟」



「最近蒼にも結くんの話しかしないみたいで…でも私の体じゃ無理ありますし…」



「…まあそういうのは後々。本当に入院しなきゃいけなくなる前に治さないとな」



「…はい」