「じゃあちょっと僕季蛍の所行ってきますね」



「よろしく…多分寝てると思うけど」



鞄を抱えて寝室のドアを開けると、スースーと寝息が聞こえる。



ベッドの横に腰を下ろして、布団をそっと捲ってみると頬の赤い季蛍が眠っていた。



下手に起こして拒否されてもあれだからな…。




そう思っていたけど、音に気づいたのか目を覚ましてしまった。



「……おはよう」



「…えっ」



「起こしちゃったか。…今日から点滴あるけど気分は?詳しい検査結果も全部出てるから教えて欲しければ教えるけど」



「……」




「季蛍さぁ……救急の先生が出血は胃からだって言ってたよ」



「……」




「でも大丈夫そうだな?」



顔を覗き込むと、ぷいとそっぽを向いてしまう。



「…入院にはしなかったんだから。言うこと聞いてね」



「…わかってます」