───ガラガラ
「…ほら」
蒼先生の声が聞こえて、パソコンからドアの方向に目線を移す。
ドアを押さえる蒼先生は、少し苦笑いをしていた。
「…季蛍入っておいで」
「……」
蒼先生が軽く背中を押すと、季蛍は中に入ってきた。
「…高島少しの間お願い。俺医局に行く」
「わかりました、大丈夫です」
ドアが閉められると、季蛍は寂しそうに振り返ってドアを見つめて。
「……そんな顔するなよ。まるで俺のこと嫌ってるような顔じゃんか」
「…そんなことないです」
「でも偉いね、朝からちゃんと来るなんて」
「…蒼が無理矢理」
「まぁそれが季蛍の為になるからね。熱、先計っといて」
「…私、今日仕事出ちゃいけないんですか?」
「だめかな。熱が下がってたら話は違うけど」
「……」