───「熱ないって嘘だったんですか?」



医局のソファで『休憩』といいつつも眠りそうな蒼先生に問うと、蒼先生は首を横に振った。



「ほんとだけど」



「季蛍が熱あるって言ってましたよ」




「気のせいだよ…病は気からって言うだろ。あんま気にしない」




「季蛍、今朝蒼先生と手繋いだとき熱かったって」



「………。



なんかおかしいと思ったんだよな、急にエレベーターの中で手繋ごうとか言い出すから」




「なんだ、嘘じゃないですか」


「嘘じゃない。7度4分、熱じゃないだろ?」




「………」



「あのなぁ……。俺の心配するより仕事しろ」



「いつも心配してくれるのは蒼先生じゃないですか」



「いいから」