リビングに入ってきた季蛍は、かばんの中身を出して。


「…たばこの煙吸っちゃって」



「……それでそんな青い顔なのか」



「ちょっと苦しいの、他の先生お店でたばこ吸うんだもん」



かばんから出された薬を飲み込んで、季蛍はため息をついた。



「蒼と病院残って仕事してればよかった」



「んは、高島もいたけど」



「断れなかったなんて情けないじゃん…いろいろ残ってるのに」



「港もだけどな。まぁいいじゃん、付き合いも大切だよ」



「…わかってるけど」



かばんから出されたたくさんの紙の束を見つめて、どこか遠い目をする季蛍だけど。



「今の季蛍にはキツいか」



一度抱きしめて、体を離して。



『…疲れためんなよ』





そう言ってまた抱きしめて。






『…どうせ喘息のチェックなんでしょ』



って、季蛍の本音が聞こえたけど。