──ガチャン


「…ただいま」





玄関から小さな声が微かに聞こえた。



リビングのドアを開けて玄関を覗くと、棒のように突っ立つ季蛍がいて。


「…お疲れ様」



「…疲れた」



「何その顔色。何か青いよ」



「うん…ちょっと」



「まさかとは思うけど…お酒飲んでないよね?」



「…港くんに止められたから飲んでない」



「はぁ…よかった、港に止められなくても飲むなよ」



「…ごめん」