急な電話を終えて席に戻ると、少し人数が減ったように思えた。
「…季蛍さんも帰る?」
「はい…」
「じゃあ俺も帰るわ。…明日午後オペ入っちゃって」
黙って頷いた季蛍さんは俯いていて…それが少し気になったけど、あんまり気にしなかった。
「じゃあお疲れさまでーす」
引き留めが入る前にとそそくさと店を出る。
適当にタクシーを捕まえて季蛍さんと乗り込むと、小さな咳き込みが聞こえた。
「…季蛍さん平気?」
「ん、大丈夫です」
消えかける声で言う季蛍さんは、かばんをごそごそ。
「…季蛍さんほんとに平気?」
「…大丈夫…、です」
そう言ってぎこちない笑顔を浮かべた。