「はい、季蛍先生も」



「あ、私は…」



「いいの、気にしなくて」




「いや…」




仕事終わりの飲み会に無理矢理誘われて来たけれど。


季蛍さんの目の前に置かれるコップの中には、アルコールが入っているんだろう。



「追加なら遠慮なく」


ポンポンと季蛍さんの肩を叩いて去っていくのは、小児科の先生。


左隣の季蛍さんは、『にぎやかですね…』とこ声を漏らした。



「季蛍さん……アルコールやめた方がいいんじゃない?喘息の発作出てるんでしょ?」



「………」



蒼も高島もいないからこそ、ちょっと心配だったりする。



「でも…断れないって言うか」


「あんまりよくないじゃん…?」



「…でも」



苦笑いをする季蛍さんは、コップに手を当てた。


「一応高島先生にも…だめって言われてるんですけど」



「じゃあだめだよ~主治医に言われてるんじゃ」



「…でも何か悪いように思われません?」



「大丈夫。ドクターストップかかってることになってるじゃん」



「…そうですね」



コップから手を離した季蛍さんは、腕時計を確認して。



「…港くんせっかく帰れるのに。来ていいんですか?」



「うーん…流れで来ちゃった。早めに帰るけど」